「今日さ、渡り廊下で、冬穂が泣きそうな顔してたんだ」
「・・・・。」
「でも、俺には気まずそうにしてるだけで、何も言ってくれなかった」
「・・・まあ、別れたんだからな」
「そうだけど・・・」
「情けねえの」

俺がそう言うと、灯は、なにやら文句ありげな表情で俺の方を向いた。

そして、しばらく俺を見つめた後、

「ひどい・・・」

と言って、口を尖らせた。

どうやら、俺が灯を情けないと言った意味は、理解しているようだ。


「・・・灯、お前は宮咲さんのこと、どう思ってんの?」
「どう、って・・・・好きだよ」
「じゃあ、なんで別れたんだよ?」
「お前には・・・分かんねえよ」

灯の瞳が悲しそうに揺らぐ。


どうやら灯は、俺のことをなめているようだ。

悪いが俺は、全部知っているんだよ。