圭汰のあまりにひどい言葉に、ついに堪忍袋の緒が切れた私は、圭汰の頬を思い切り平手打ちした。

廊下にその音が響いて、無意識だとしても、自分のした行為に驚く。

圭汰も自分の頬を押さえながら、ポカンとした顔で私を見つめた。

私は自分の行動に動揺しながらも、怒りを抑えられずに、

「どうして、私の気持ちを疑うの?どうして信じてくれないの!?私は、私はっ・・・・ともを捨ててまで、傷つけてまで、圭汰を選んだのに!!」

と、大声で息巻いた。

珍しく怒鳴った私に、圭汰は驚いたような顔を見せる。

はあ、はあ、と肩を細かく上下に揺らしながら、私は泣きそうな気持ちを堪えて、圭汰をじっと見つめる。


「・・・もう、いいよ」
やがて、信じて、と訴えかけることを諦めた私は、そう小さな声で呟いた。

「冬穂・・・・」
「そんなに疑うんなら、もういいよ!圭汰なんて大嫌い!もう知らない!」
「っ・・・冬穂っ!」