ボーっとそんなことを考えていると、ふと、隣から声を掛けられた。
そちらを向くと、圭汰が不思議そうに私の顔を覗き込んでいて、その表情に、いけない、と我に返る。
放課後、視聴覚室に二人きりという、いつもと変わらない時間。
せっかく圭汰といられるのだから、余計なことは考えないようにしよう。
そう思い、私は圭汰に微笑みかけて、
「ごめんごめん。なんでもない。えっと・・・何の話だっけ?」
「ったく・・・。だから、家の近くのコンビニの店員が面白い、って言ったんだよ」
圭汰は少し怒ったようなジェスチャーをしたが、その顔には笑みが浮かんでいた。
「面白い、ってどんな感じ?」
「店長がすげえ小さくて、まあまあ年いってるんだよ。だから、その店長、絶対棚の上とかに商品並べられねえじゃん?」
「うん、そうだね」
「なのに、バイトの若い子、全然何もしなくてさ。レジ打ってるだけなんだよ」
「ひどいね」
「だろ?だから最初見た時さ、注意しようと思ったんだ。だけど、店長見てたらさ、」
ーーブルルルッ