時は過ぎ、三学期となった。
始業式早々、灯と私が別れた噂が学校中に流れていた。
誰が流したのかは分からないけれど、歩くだけで、すれ違う人すれ違う人にじろじろと見られれば、自然と勘づくだろう。
しかし、こんなことになるまで、私と灯が学校で有名なカップルだったということを知らなかったため、少しだけ驚いた。
まあ、灯はモテるから、仕方がないのかもしれない。
モテる、といえば、三学期になってから、望未ちゃんの、灯に対するアピールがよりいっそう激しくなった。
周りも、今度は望未ちゃんと灯が付き合うのではないか、と予想しているくらいだ。
灯とは、あの日以来、一切連絡を取っていない。
もちろん、学校で話すこともなくなった。
小日向くんとは時々話すけれど、もう三人で絡むことはなさそうだ。
それがなんだか寂しくて、心にぽっかり穴が空いてしまったような気がする。
ものすごく馬鹿らしいのだけど、今更になって、灯が私に与えていた影響の偉大さを知った。
「どうした、冬穂?ぼーっとして」
「・・・へっ?」