少し離れた位置からそう圭汰に声を掛けられ、私はそちらへ、息を整えながら向かう。
「圭汰・・・」
「どうした?そんなに疲れて。・・・もしかして、何か用事あった?」
「いや・・・大丈夫。ていうか、圭汰こそ、奥さんは?」
「ああー・・・喧嘩した」
「喧嘩した?なんで?」
そう問うと、圭汰はバツが悪そうに苦笑しながら、
「まあ、色々あるのさ。・・・それより、どこに行く?せっかくのクリスマスイブだし、どっかパーッと行こうぜ」
と、話をすり替えた。
触れられたくない話なのだな、と察し、今日はもう、圭汰の奥さんの話は止めておこうと思った。
「私、お腹空いたなあ。まだご飯、食べてないんだよね」
夕食はクリスマスツリーを見た後にしよう、と灯と話していたため、まだ食べていなかった。
それに、かなりの長距離を走ったので、今、とてもお腹が空いている。