私はもう、灯の隣にはいられない。
たった一人しか愛せないのなら、一つだけしか選択出来ないのなら、私は圭汰を選ぶ。
圭汰との恋を選ぶ。
それが、私の答えだ。
「嫌だ。離さない」
「・・・お願い、離して」
「無理」
「とも・・お願い」
「・・・嫌だ!」
灯はそう叫ぶと、ぎゅっと、私の腕を掴む左手に力を込めた。
けれど、その手も弱々しく震えていて、私の良心を苦しめる。
「・・・もし、今いなくなったら・・・・別れる、から」
灯は、声を絞り出して、そう言った。
灯の意志の強さと、私を引き止めたいという気持ちが、痛いほど伝わってくる。
でももう、それに惑わされてはいけない。
ここで同情して灯の傍にいたら、結果的に、もっと灯を傷つけることになるから。
だから、本当はこんなことしたくないけど。
したくないんだけど、
「・・・っ!」
私は腕を思い切り振って、灯の手を無理矢理離した。