・・・だけど、
「・・・ううん、なんでもない」
やはり私は、どこまでも意気地なしのようだ。
灯はそんな私を、不思議そうに見つめる。
「・・そう?」
「うん。・・・あっ、そうだ」
私は立ち上がって、灯に近づく。
そして、鞄からそっと、小さな箱を取り出した。
「はい」
「何?これ」
「誕生日プレゼント。前欲しがってた、キーケースだよ」
「えっ、まじ?うわー、超嬉しい!開けていい?」
「もちろん!」
灯は箱のラッピングを取り、ふたを開ける。
そして箱の中を見た灯は、次第に顔を綻ばせていき、
「ありがとう、冬穂!大切にする!」
と、言った。
「うん」
喜んでいる灯を見て、私も幸せな気持ちになる。
けれど同時に、罪悪感で胸が張り裂けそうにもなった。
「じゃあ、行ってくる!」
「はーい」