「俺ら、本当に恋人なのかな?って、時々思うんだ。冬穂は?」
「私も・・・そう思う時、ある」
「・・・だよな。だからさ、」

そこまで言うと、灯は不自然に言葉を溜めた。
私は、視線を灯に戻す。

そのどこか思い詰めたような表情に、心臓が不穏な音を立てた。


少しの間、そうしていると、灯が静かに口を開いて、

「・・・これからは、出来るだけ一緒にいよう?」

と、優しく微笑んだ。
私はその言葉に戸惑い、灯の顔を見つめたまま閉口する。


一緒にいよう、なんて約束はしてはいけない。
だって、一緒になんて、いられないから。

だから、断らないといけない。
無理だと、そんな約束は出来ないと。

そして言おう。
“別れよう”って。


「・・・一緒に?」

でも、やっぱり勇気が出なくて、私は意味もなく、そう聞き返してしまった。