「おっ!今日はハンバーグだ」
弁当箱のふたを開けて、そう喜びの声を上げた灯を、心苦しく思いながら見つめる。
「・・・昨日の晩ご飯、ハンバーグだったから」
「そうなんだ!いいよなっ。俺、大好き」
「うん・・・」
二学期も、あと一週間で終わってしまう。
なのに私はまだ、別れを切り出せないままでいた。
圭汰のためにも、灯のためにも、早く別れなければいけないのに、中々言葉に出来なかった。
そういえば、私が誰かを振ったことなんて、今まで一度もなかったな。
だから慣れていない、なんて言い訳は、通用しないけれど。
「・・・なあ、冬穂」
「ん?」
灯に名前を呼ばれ、私は無理矢理笑顔を作って、灯の方を向いた。