それなのに、また私は、灯の優しさに逃げている。




「ねえ、冬穂ちゃん。ちょっと、今いい?」

ある日の放課後、一人で帰ろうとしていると、望未ちゃんに肩を叩かれ、呼び止められた。

「えっ?う、うん・・・」

今まで望未ちゃんにされてきたことを思い出し、少し不安になったが、望未ちゃん一人だけだから、前みたいなことにはならないだろうし、さすがにもう、望未ちゃんも懲りただろう。

そう思い、私は望未ちゃんの頼みを受け入れた。



連れて来られたのは、視聴覚室の前。


「・・・どうしたの?こんな所で」

私は望未ちゃんに、そう問う。