「よろしい。じゃあ、頑張れよ、高校生」
そう言うと、圭汰は手を振りながら、私達から離れていく。
「あのっ・・・!」
私は立ち上がって圭汰を呼び止めるが、聞こえていなかったのかわざとなのか、圭汰はそれを無視して、図書室から出ていった。
「・・・冬穂」
しばらく圭汰の後ろ姿を見つめていたが、灯にそう声をかけられ、私は彼に目を向ける。
すると灯は、目尻を下げて、困ったように笑った。
「ごめんな、いきなり」
「えっ、いや・・・ううん」
悪いのは私なのに、灯にそんな顔をさせて謝らせてしまったことを後悔する。
早くこのぐちゃぐちゃな関係を終わらせるのが、私の役目だ。