私達のいる場所にだけ、重たい空気が流れる。

すると、徐に圭汰が口を開き、

「・・・ここは、図書室だ」

と、この空気を切り裂いた。
いや、この空気をもっと重くしたのかもしれない。


「・・・だから、なんですか?」

灯は喧嘩する気満々、という風に、圭汰を見つめる。

「こんな所で、そんなことはしないように。一応、公共の場だから」

しかし、圭汰は軽く注意すると、にこっと微笑んだ。
ただ、それが作り笑いだということは、私にはひしひしと伝わってきた。

でも、やはり灯にはそれが分からなかったようで、拍子抜けしたように、目をパチクリさせ、

「あっ・・・はい。すみません」

と、謝った。