「び、びっくりした・・・何?とも」
「冬穂・・・・」

ドクドクドク・・・と、大きな音を立てて動揺する胸を押さえながら灯に問うと、灯は真剣な面持ちでじっと私を見つめた後、目を閉じて、ゆっくりと顔を近づけてきた。

「えっ・・ちょ・・・」

灯がキスをしようとしていることは、何となく分かった。
だから、私は、さっと身を引く。

すると灯は動きを止め、閉じていた目をゆっくりと開けて、悲しそうに顔を歪めた。

「冬穂、俺・・・」
「おい、何してるんだ?」

灯が何かを言おうとしたが、それは、近くから聞こえた声によって遮られる。

私達は同時に、その声がした方向を見る。

そこには、

「岡本先生・・・・」