「冬穂は?今日一日、どうだった?」
「んー・・特にはないかな。平凡、って感じ?」
「平凡・・・って、お前」
それでも高校生か、と呆れたように笑う圭汰に、私も苦笑する。
「・・・でもね、私、こうやって圭汰と話せてるから、幸せだよ」
「冬穂・・・・」
私は圭汰に、にこっと笑いかけた。
圭汰は少し悲しそうに私の名を呟いたが、すぐに優しい笑みを返す。
「・・・俺も、冬穂といられて幸せだよ」
「へへっ」
最低なことをしている。
世間が謳う、正しさや清さに背いている。
そんなこと、分かっている。
それでも、幸せだと感じる卑しい心。