私が受けた体験授業の担当だったのが、圭汰だった。

しかし、私が圭汰に恋したのは、体験授業が終わって体育館へ向かっている時。

体験授業の後、体育館で親と合流する予定だったのだけど、重度の方向音痴である私は、そこへ向かっている内に迷ってしまったのだ。

そうして辿り着いたのは、体育館と正反対の方角にある視聴覚室の前。


「・・・ここ、どこ?」

こんなことになるなら、もっと早く誰かに聞けば良かった、と後悔しながら辺りを見渡す。

助けを求めようとしたが、周りには誰もいない。
初めて来た学校で、中学生の私はどうしたらいいか分からず、ため息を吐く。

その時、ふいに視聴覚室の扉が開いた。