カンカンカン・・・と、チョークが黒板に白い色を付けていく、午後五時二十七分。
相合傘を書く時には、いくつかルールがあるらしい。
「まず、相合傘は一筆で、傘の中を割らずに書く」
シャッと、私はチョークで勢いよく相合傘を書き上げた。
傘の中が割れてしまうと、想いも半分に割れて、恋が叶わなくなるという。
「女子の名前は右、男子は左」
カップルが道を並んで歩く時も、男子が車道側、つまりは左側を歩くから、だろうか。
“宮咲冬穂(みやさきふゆほ)”と、相合傘の右側に自分の名前を書き入れた。
あとは、左側に書く名前。それは・・・
「ふーゆほ!何してんの?」