私は坂内 梨菜
ピアノをなかなか弾けない意気地なし。
でも、みんなの前では
ピアノを弾いてた過去を
無かったことにして
笑顔で接している。
過去を打ち明けた事は一回もない。
けど今日、私の大好きな彼氏の
魁斗に私の過去を話す事に決めた。
って魁斗に言うと少し微笑んで
「ありがと。でも、無理すんな。」
って言ってくれた。
ほんとに無理とかじゃなくて
魁斗だから言わないで過ごしてるのが
辛くてだんだん言いたくなったんだよ。
私は魁斗の言葉に頷いて
少し間をあけてから話し出した。
私の母は音大を出て音楽教師になって
結婚したら教師をやめて家庭に入った。
それと同時に昼間から夕方にかけて
ピアノ教室を開いたんだ。
そんな家庭で生まれ育った私は
当たり前のようにピアノを選んだ。
教室の生徒は週に数回だけど
私はほとんど毎日、母と弾いた。
するとどんどん上達して
コンクールでも賞を残せるようになった。
母はもちろん父も喜んでくれた。
だから、もっともっと練習して
小学校に上がるとわりと賞を
取れるようになって
そんなピアノ生活を
小学校でずっと過ごして