音楽室に着くと
俺は早速ピアノを弾く準備をささっとして
少し指を動かしたら
坂内さんにじゃあ行くよ。
って軽い口調で心強く言った。
弾く前は坂内さんを意識していて
ドキドキ緊張してたけど
弾き始めると、俺の気持ちは
あっけなくピアノにひきこまれて
ピアノの一音一音の裏にある
作曲した人の気持ちが伝わってきて
楽しくて仕方がなかった。
弾き終わるとハッとして
夢から覚めたような感覚になった。
坂内さんの方を見ると
満足そうにニコニコしていた。
そして、
｢私、好きだなぁ……。｣
って独り言のようにポツリと言った。
でも、聞こえてた俺は
俺のピアノの演奏…もっと言えば
今日弾いた曲が好きなのは分かってるのに
動揺して少し舞い上がって
｢今日弾いた曲のことだよな…｣
って俺もポツリと独り言のように呟いた
坂内さんは
｢んー､このピアノで
こんな素敵な演奏する人も好きだなぁ…。｣
ってこれも独り言のように言った。
これじゃ、会話じゃねとか思いつつ。
俺も
｢こんな素敵な感想言ってくれる人
俺も好きだなぁ…｣
なんて、坂内さんに乗って言ってみた。
でも、言った後に後悔…。
照れすぎてピアノに頭を伏せた。
そんな俺を見て坂内さんは少し笑って
｢私も松田くんのピアノも全部大好き！｣
って今度は呟くようにではなく
ちゃんと俺に向かって言った。
俺はさらに顔が真っ赤になって
でも、俺も早く言いたくて
｢俺、坂内さんの事好きです！
俺と付き合ってください。｣
って言った。
坂内さんは｢よろしくお願いします。｣
って珍しく顔を真っ赤にして言った。
その顔に俺まで照れて
2人でそんな感じだから
2人ともお互いの真っ赤な顔みて笑った。
