文化祭の片付けも終わって
俺はいつも通り旧校舎の音楽室に
足を進めていた。


その途中
「松田くん!一緒に行ってもいい?」


って珍しく少し遠慮がちに言った。
俺は別に断る理由もなかったから了承した。


すると彼女は
「これで松田くん、モテちゃうね。
あ〜ぁ、なんか面白いと思ったけど
そこまで面白くなかったし!」


って少し拗ねた顔をした。
不機嫌?怒ってる?ようにも見えた。


そして、何か悶々と考えてる彼女に
何言っても意味ないと思って


「そっか。」だけ言って流した。
その後、考えつつ歩いてる彼女に


「今日は坂内さんの
好きなの弾こうと思ってる。何がいい?」


って俺は聞いた。
彼女はちゃんと聞いていたみたいで


「んー、モーツァルトの
2台のピアノソナタが聴きたい。
私、松田君のそれが一番好きかなぁ。」


って言ってふふっって少し笑った。
その笑顔に俺はグッときて
反則だと思った。


坂内さんが少し笑っただけでも
心が高鳴って嬉しくて


でも、もっと緊張して
心臓が口から出てきそうだった。