だけどね、あたしは知っているぞ!こんな感じのチャラチャラした男の言う「可愛い」はほぼお世辞だということを!!





あたしはどっかのベタな少女漫画の主人公みたいに「…なっ?!」って照れるなんてことはまずないから安心したまえ!ふははは!




あたしは銀色の手をぶんぶん振り回して笑いながらそんなことを考えていた。




銀色はあたしの手を離すと、朋稀くんとミルクティーの間の隙間に強引に割り込んで座った。



ああ…。2人がすごい不機嫌な顔になったよ。




隣のソファーを独り占めして、優雅に雑誌を読んでる金髪王子、ちょっと場所を空けてあげてください。お願いします。




銀色は「で?」と言って誰も口をつけてなかった紅茶を手にした。あ、野球少年がコイツの分もあらかじめ作っておいてたんだね!なんて気が利く少年なんだ!





「この子たち、なんでここにいるの?」





なんだか少し棘のある言い方にイラっとしちゃったぜ。危ない危ない。あたしの右腕が勝手に動き出すところだった。





銀色が割り込んできたせいで狭くなったからか、まだ不機嫌な朋稀くんとミルクティーはお互いそっぽを向いている。子供かよ。




そんな2人を見て呆れたようにため息をついた金髪王子は、読んでいた雑誌をテーブルの上に置いた。





「さっき南のヤツらが来たんだよ」




「あー、さっき保健室で桃ちゃんから聞いた」





桃ちゃんって誰だよ。彼女…ではなさそうだね。この人、絶対に女遊び激しいだろうから。



さっきこの部屋入ってきたとき紙持ってたんだけど、女の子のアドレスばっか書いてあったの見えたもんね。






「で、透もいたんだけどさ……」






金髪王子はあたしの顔色を伺うように一瞥すると、再び銀色を見て、なぜか楽しげに笑った。





「この子、透のことぶん殴って、ちょっと気絶させちゃったんだよね」



「………は?」





銀色の間抜けな声が、部屋に響き渡った。