「つまり、あたしは南からだけじゃなくて、いろんな人から狙われてる、と?」



「そういうことです!」




いや、そんな爽やかな笑顔で言われても。



原田少年はあたしの頭をよしよしと撫でた。どっちが年上なのかわからないぞ。





朋稀くんは「そうだ。それが言いたかったんだ!」って自慢気に胸を張ってるけど、あたしにわかりやすく説明してくれたのはアンタじゃなくて原田少年だよ。




あたしが朋稀くんに冷たい視線を送っていると、部屋のドアがガチャリと音を立てて開いた。



入ってきた人は、髪が銀色でさらさらヘアーで、ボタンがたくさん開いてて鎖骨より下が丸見え。




だらしない着こなし方だけど顔はかっこいい。




甘い香水の香りが部屋中を漂う。




女のあたしより色気あるんですけど!



中に入ってきた人を見るなり、原田少年はぺこりと頭を下げた。それに続いてヤンキーズも頭を下げる。




朋稀くんは軽く片手を上げて笑った。





「遅刻ですかー」



「そうですよー」





朋稀くんより怠い喋り方で返した銀色は、ソファーに座ってるあたしたちに気づいて首を傾げた。




「誰かの彼女か?」



「違う」





間髪入れずに否定したミルクティーにちょっとイラっときたけど、あたしはもう大人なので敢えて流そう。




あたしは銀色と目が合ったのでとりあえず笑っておいた。





「へー可愛いじゃん。よろしくね~」



「よ、よろしく」





握手を求められたので、おずおずと右手を差し出すあたしを見て銀色は苦笑した。