小学6年生の春。

おばあちゃんの家に遊びに来ては近くにあるラベンダー畑に行くのが恒例となっていた。



自分の住んでいる所とは大違いな絶景の景色。

街とは外れた所にあり、人がいないこの場所は私の大好きな場所だった。


そして、つい最近はおばあちゃんの体調が悪くなったこともあってこのラベンダー畑に来る頻度が増えていた。




ガサガサッ




急に人がいるような音がして、私は少しドキリとした。



『…誰かいるの?』



音のした方角を見ると、私と同じくらいの背丈の子が少し奥の方に見えた。



なんとなく気になって奥に進んで行くと、そこには男の子がいた。



なかなかこちらを向かない彼に痺れを切らして話しかけようとしたその時。



彼がクルリと体を回転させて、こちらを見た。



そして、私はそんな彼と合った目を離せずにいた。