「忘れてなんかないよっ?へ、平静を装っているだけであって、その、とにかく忘れていたわけでは……」


嘘です。ほんとは忘れてました。


「へぇ、どーだか」


類がそう呟くと同時に、信号が青に変わり、再び車が動き出す。

私は、そうっと類の方を向いて、ちらっと顔を覗いてみた。


おお、見事なポーカーフェイス……!


類は結構表情が静かというか、
思っていることが顔にでないタイプだから、顔をみただけでは感情を読み取れないようなところがある。


ううん、でもこれは雰囲気的に……


「類、怒ってる?」


「別に怒ってない。それに俺はお前に惚れてるけど、だからってお前とこの先どうこうなりたいとか思ってるわけじゃないから別にいい」