類の車に乗り込み、
シートに腰をかけ─

ふうーっと息をついた。


「なぁーんかすっきりした~っ!」


そうやって私が背伸びをすると同時に類が車のエンジンをかけ、車が走り出す。


「車の中であんま大きな声だすな馬鹿」


「ごめんごめん。でも類の車に乗せてもらうの久しぶりだなぁ」


「は?今日の朝乗ったばっかだぞ」


「今日の朝はほら、事情が事情だったし」


「まあ、そうだけど…」



そうやって、類と他愛ない会話を交わす。
こういうのが、とても久しぶりだ。


窓から流れる景色も、なんだか全部が懐かしい気がする。

ラーメン屋で働いていたのは、懐かしいと思うような昔ではないはずなのに。

そんな事を思って窓の外を見つめる私。
流れる景色が止まる。

赤信号だった。



車が止まると同時に、類が口を開く。