うつむいて葛藤する私の肩を、類が優しく叩く。


「返事は、すぐにじゃなくていいから、帰ってゆっくり考えろよ。送るから」


そう言ってくれた類に甘える事にする。


「うん、ありがとう。じゃあ私……帰ります。また荷物を取りに来るので、その時まで返事を待っていてくれますか…?」


そう聞くと、大将さんも渚さんも優しく微笑んで頷いた。

「じゃあ、また来ます」

「本当に、すまなかった。

───いい返事を待ってるぞ」

そういってニカっと太陽のように笑う大将さん。

「葉月ちゃん、本当に、ごめんなさい」

そうやって土下座せん勢いで深く、深く頭を下げる渚さん。

そんな二人を見たら、なんだかすうっと、心の中からしこりが消えていくような気がした。

過去は変わらないけど、私今、こんなにもすっきりしてる。


やっぱり、ラーメン屋のみんなは私にとってとても大きな存在だったのだ。


その事に気がついて、なんだか泣きそうになって、ちいさく頭を下げ、急いで類の袖をひいて店を出た。