真剣な表情でそう言ってくれた大将さん。
その質問に、思わず固まってしまう。
戻る……ラーメン屋に、戻る…。
大将さんには、私は家族の次くらいにまで御世話をかけてしまった人だ。
お金がなくて大学へ進学できなかった私を、高卒の私を雇ってもらってから、
何年たっただろう。
そのくらい、御世話になった。
でも……
「葉月、返事は今じゃなくていい。
だから、それを考えておいてくれ」
そう言って、大将さんはまた頭をさげた。
「こんなこと言える立場じゃないし、僕が葉月ちゃんからここを奪ったことも分かってる。でも、僕からも、お願いします」