まだ動揺しているのか、いつもより心なしか類の運転が雑な気がした。
二人の間に流れる沈黙。
車内には音楽もラジオもついていなかったから、余計に気まずい。
そんな沈黙をやぶったのは類の方だった。
「────ごめん」
いきなりそんな風に謝られた。
ごめん……なんて。
類は何も謝るような事してない。
「類は、何も悪くないでしょ。なんで謝るのよ」
らしくない。
自分に非はないのに謝る類なんてらしくなさすぎる。
私が謝って欲しいのは、類じゃないよ。
そうやってうつむく私に、類が続ける。
「気づいてやれなかった。
お前がいなくなってから、兄貴の行動とか見てて、兄貴がお前に何かしたってことにはなんとなく勘づいてた。
でも……まさかお前に……」
そう言って類は悔しそうに顔を歪め、ガンッとハンドルを叩いた。