ヤキモチ、焼けよ。



「なんでヤキモチ焼かねーの?」


「えっ…」


柊の口からは、予想外の言葉が出てきた。

確かに私はヤキモチ焼かないタイプだけどー…


「なんでって…」


「まずは質問に答えろよ」


私の頭の中はぐるぐる回っていた…

いったいなんと答えれば気を損ねずに済むか…

…よし、そうだ、ここは嘘も方便、

上手く誤魔化しちゃおう…!


正直に言ったら余計怒らしちゃうかも

しれないしね…。


「…本当は私も心の中ではヤキモチ焼いてるんだよ…
だけど何の話してたとか柊に聞いたら、
なんか…重いって思われるかもって考えちゃって、
言葉には表せなかったんだよ…」


…これでいいかな…?

「...嘘ばっかり」


…ええっ? まさか…

嘘…だって? バレちゃったのかな...?



柊の顔を見ると、まだ機嫌を悪くしてるようだった。



「…お仕置き」


え、お仕置きッ!?

何のことか分からず、柊の顔を見ながら

呆然としてると...






チュッ





私の唇に何かが触れた。

何かと思って見ると、柊が目を伏せながら、

…私にキスをしていた。


「んッ…」




しばらくしたら、柊の唇が離れていった。


「何、いきなり…」



私がそう言うと、柊は顔に

イタズラっぽい笑みをうかべ、

ニヤッと笑い、


「お仕置き」


と、ポツンと、でもしっかりと

そう言った。



その柊のイタズラっぽい笑顔と

いきなりの出来事に、軽く混乱し、


だんだん顔が赤くなっていくのが分かる。

すると、柊の顔もだんだんと

赤く染まっていった…気がする。





すっかり照れたような柊は、


「…はやく戻れよ」


と、顔を背けながら言った。



…なんか可愛いかも。

「…うん!」




チュッ



私はそう答えると、柊のほっぺに

軽くキスをして、自分の教室に戻った。



チラッと後ろを振り返ると、柊の顔がさっきよりも

赤くなっていた…ような。

私は


「仕返し」



と、聞こえないであろうほど

小さな声で、そう呟いた。