姉のお墓の前まで行くと田中さんはじっと立ち止まってから泣き崩れてしまった。

「雫…雫…10年も経ったからかな…だんだんと雫が僕の頭の中からいなくなっていくんだ

…気付いたら声が聞こえなくなった

…雫の顔が霞んできた…

…このまま忘れるところだったよ…


そしたら今日雫にそっくりな美里ちゃんに会ったよ…
…ごめんな、忘れるとこだったよ。寂しい想いをさせてごめんな…」


目の前で泣きじゃくる田中さんをあたしはどうする事も出来なかった。

あたしは田中さんの横にしゃがんで小さく話した、



今考えるとなんでそんな事を言ったのかわからない。でも、その時のあたしは田中さんを長い長い闇からどいしても救いたかった


「田中さん、姉に会いに行きましょう。」