私が入力とデータチェックをしている向かいで、プログラマーの柴崎さんがシゲと熱心に話し込みながらウェブサイトの修正をやっている。


「こないだのインタビューでの要望は反映したんですよね」

「それは終わった。コアなユーザの満足は上がってるから今はいいだろうけど、人数増えたら管理しきれないかもなぁ」

「でも管理するってイメージじゃないですよね」


こっそり聞いていても、何をやってるのかはさっぱりわからない。


知らないうちに、一人で大人になっちゃったんだなぁ。


大学行かないのはお金のせいかなと思ったけど、平井さんたちと普通に働いてるのを見ると、別に行かなくてもいいのかもしれない。








シゲが私に気づいて顔を上げた。「なに?」と聞かれて慌てて適当に質問する。


「メガネ、かけてなくても見えるの?」


中学の時はそこまで目が悪くはなかったと思うけど、こないだは私に気づかない程だった。


「コンタクトだよ。お前あいかわらず2.0?」


薄く笑いながら言われる。もともとそこまでよくないよ。ふざけて愛華たちが言ってただけじゃん。