ガシャーン!
派手な衝撃音に合わせて、足と腰に衝撃が来た。とっさに身体を丸める。
「結衣!」
シゲの声が聞こえた。
何が起こったかまだよくわからないうちに、またガシャンと大きな音がして、人が走ってくる。
「結衣、大丈夫か!」
うん、とうなずく。
避けた時に転んだんだ。車は、私の目の前を走っていっただけ。
「頭は? 打ってない?」
聞きながらシゲも私の様子を確かめて、わかったようだった。
「よかった。びびった」
ぎゅっとシゲが私を抱き締めた。純がするハグと全然違って、強くて、でも震えた腕だった。
シゲのか私のかわからない心臓の音が、激しく鳴っていた。
遅れて純もやってきた。シゲが私を支える手を緩めて、三人無言で顔を見合わせる。何を言えばいいのか、誰もわからないようだった。
「とりあえず、公園に戻ろう」
シゲが私に肩を貸して歩かせ、投げ出されていたシゲの自転車は純が押して戻る。私の自転車は置いてきた。
三人とも無言だった。
ペダルの重さは、さっきからパンクしかけてたせいらしい。パンクのせいで進まなくて、事故を免れたのかもしれない。
私は言うことは全部言ってしまった気がして、公園についてもただベンチに座っていた。言い訳もできない。