シゲに「嘘をつくな」と言われた翌日。石川さんのアトリエに二人で行くことになった。気まずいかと思ったけど、シゲは普通。
同じ区内だから、また自転車で行くことにする。尚人くんは大学の課題をやってるところで行かれないんだって。
暑い中なんとかたどり着いた古いマンションの外から電話をすると、石川さんが迎えに降りて来て、自転車置き場に案内してくれた。
「お揃いなんだね。塗ったの?」
「尚人が塗ったんですよ、あいつペンキで何かと塗るのが趣味で」
「器用なんだね。特殊な塗料でしょ、これ」
石川さんがじっと見ながら批評する。お揃いだねと指摘しつつ妙なからかいを含まない態度。こないだも思ったけど、この人好きだなぁ。
自分で内装も作り込んだというマンションの一室は、そのまま彼女の作品みたいだった。
一面だけ薄いブルーの壁の前に、手作りらしい白い棚が置かれ、作品が並べられたり壁に掛けられたりしている。手をかけている温かみがあるけど、女子っぽい甘さとは違う。
次はどうするかという話だから別にチャットでもよかったんだけど、よかったら一度遊びに来てと今日は招いてもらっていた。
「私すごく好きです、この部屋」
「ありがとう。結衣ちゃんたちの絵も似合うでしょ。自分で作ると割と明るくしちゃうんだけど、こういう切ない感じもいいなぁって。それで私ね、この子真ん中にしてもう一個ペアで額にして飾りたいってさっき思ったんだけど」
同じ区内だから、また自転車で行くことにする。尚人くんは大学の課題をやってるところで行かれないんだって。
暑い中なんとかたどり着いた古いマンションの外から電話をすると、石川さんが迎えに降りて来て、自転車置き場に案内してくれた。
「お揃いなんだね。塗ったの?」
「尚人が塗ったんですよ、あいつペンキで何かと塗るのが趣味で」
「器用なんだね。特殊な塗料でしょ、これ」
石川さんがじっと見ながら批評する。お揃いだねと指摘しつつ妙なからかいを含まない態度。こないだも思ったけど、この人好きだなぁ。
自分で内装も作り込んだというマンションの一室は、そのまま彼女の作品みたいだった。
一面だけ薄いブルーの壁の前に、手作りらしい白い棚が置かれ、作品が並べられたり壁に掛けられたりしている。手をかけている温かみがあるけど、女子っぽい甘さとは違う。
次はどうするかという話だから別にチャットでもよかったんだけど、よかったら一度遊びに来てと今日は招いてもらっていた。
「私すごく好きです、この部屋」
「ありがとう。結衣ちゃんたちの絵も似合うでしょ。自分で作ると割と明るくしちゃうんだけど、こういう切ない感じもいいなぁって。それで私ね、この子真ん中にしてもう一個ペアで額にして飾りたいってさっき思ったんだけど」