「じゃあ、これからもずっとひとりでいるのか?」


「そうかもね」


強い口調で返せたのは、ツキの姿が脳裏に浮かんでいたから。


「まさかペットの猫が友達だなんて言わないよな?」


だけど、クロはそれすらも見透かすように、眉を寄せて鼻で笑った。


目を見開いた私は、言葉を失った。


図星を突かれたことも、ツキの存在まで知られていることも、たぶん小馬鹿にされたことも、私から言葉を奪うには充分だった。


思わず、一歩後ずさる。


彼はピクリと反応したように見えたけど、すぐに真剣な顔に戻って口を開いた。


「猫の寿命なんて、そう長くはないだろ」


「……っ! いい加減にしてよ! 知り合いでもないくせに、なんなの!? いくらなんでも、言っていいことと悪いことがあるでしょ!」


「でも、事実だ。人間も猫も、いつか寿命が来る。そして、それは確実に猫の方が早い」


わかってる……。そんなのこと、もうとっくに知ってる……。


ツキのことだと強気でいられなくて、声に出せば泣いてしまいそうで心の中で呟いた。


ツキを家族として迎えた頃に、猫についてたくさん調べた。


食事やトイレや接し方に始まり、病気や怪我した時のこと。


そして、もちろん寿命も……。