「俺の知る限り、千帆は中学を卒業する前からずっと友達がいない」


胸の奥に鉛を落とされたように、ズシンと苦しくなった。


友達なんて、いなくてもいい。


あんな風につまらない理由で孤立して、信じていた人にも目を背けられてしまうのなら、結局はひとりでいても変わらない。


だから……。


「私は友達がいないんじゃない。作らないの」


クロの顔を睨むように見ながら、自分自身の主張を吐き捨てるように告げた。


「集団で群れなきゃなにもできないような人間と友達ごっこをするなんて、バカみたいだし時間の無駄だと思ってる。親友なんて言ったって、結局いざって時に離れていくんだから……。そんな友達ならいなくてもいい」


しっかりとした口調で話せているのに鼓動がやけに大きく鳴っていて、まるで心が震えているようだった。


「そんなの、本心じゃないだろ?」


「本心だよ。別に友達なんていなくても生きていける」


学校では時々困ることもあるけど、プライベートではなにも困らない。


それに、私にはツキがいる。


話ならツキにできるし、人の言葉を話せなくてもきっとツキは私の気持ちをわかってくれている。


ツキが私の心の拠り所だし、ツキは大切な家族なのだから。