腰にまわした手が、なおさら強引に私を連
れて行こうとしている。
 「やっ止めてください!」
 それでも止めない手に
 「公平!公平」
 思わず叫んでしまった。
 「美和どうした?」
 騒ぎに気づいた公平が、飛んできてくれた
あたふたしている私を見て、状況をすべて把
握したのか、強面のボーイに詰め寄っている
 それでも微動だにせず、ボーイは
 「そちらのお客様が5万円でお買い上げに
なられましたので」
 平然と言ってのけてるけど・・・
 んっ?5万円なんてちょっと安くないかな
密かに怒っている私の横で、
 「じゃあ、10、10万!カッカードで」
 公平が直立不動で、カードを見せていた
 10万?もう何なのよ・・・
 「わかりました」