チェリーちゃん?
 あっ私の源氏名だ。
 「えっ指名?」
 さっきの満面の笑顔で、黒服さんの指差し
た方向を見ると、5番テーブルで手を振って
いるおじさんがいた。
 見るからに、いやらしそう・・・
 さいあく・・・
 しかたなく、立ちあがって行こうとしたら
すぐさま公平に腕を掴まれた。
 「行くな」
 視線を落として、そう言う公平の手には、
力が入り過ぎてて、痛かった。
 「行くな!」
 「だって・・・」
 「オレ、この人気に入ってんだ」
 公平は、私の腕を掴んだまま黒服さんに交
渉し始めた。
 「じゃあ、指名料がかかりますが、1時間
1万円でございます」