「オレ雨好きなんだ」
 「えっ?」
 私がそう言ったら、公平は少し照れたよう

 「雨の音聞くと、なんか落ち着くんだよ」
 そう続けた。
 雨が嫌いな人ばかりじゃなかった。
 「えっ、私も・・・だよ」
 お互いに、見詰め合っていく。
 何万粒の雨が、地上にもたらす音だけが
静かに流れてた。
 今日は何も聞かずに、そっとしてほしかっ
た。ただ、このままで・・・
 そんな私の気持ち、知ってか知らずか、公
平は、私に三島課長のこと何も聞かなかった
 今夜は、ざわついていた心に、束の間の休
息を感じた。
 そんな静かな夜だった。