私にも、そんなふうに三島課長のこと愛せ
るのだろうか?
 自分自身に問い掛けてみる。
 今の香奈には、一回り成長した大人の魅
力があった。
 でも香奈、今だけは、本音を言ってもいい
よ。元気に振舞って話しても、時折覗かせる
香奈の心の奥・・・見えてしまうと胸が痛か
った。
 
 公平は、じっと香奈の話を聞いていた。
彼は、肯定も否定もせずに、ただ、じっと・
・・
 静かに聞いた、伏せた視線がやわらかで、
やさしかった。
 「あーあ、終わっちゃったなぁ」
 胸のずっとずっと奥にしまってた、香奈の
言葉が、やっと溜息に混じって形になった。
 「これからだよな」
 公平がポツリと言った。