ルミちゃんは、さんざん悪口を言ったあと
話題の本人である佐野係長から、呼ばれて
席に戻った。
 二人が並ぶと、ルミちゃんが佐野係長を見
下ろす形になっていた。
貫禄もルミちゃんのほうがあった。
 佐野係長は独身で、背は165cmくらい
太ってるわけでもないので、中身の濃いキャ
ラを除いてしまうと、見た目はこじんまりと
している。
 必死で隠してる、おでこの広さもある意味
地味さを強調していた。
 「佐野係長、今日も素敵ですねー」
 さっきの悪口がうそのように、甘えた口調
のルミちゃん。
 調子がいい二人は、似たもの同志なのだ。

 仕事が一段落して、廊下に出てみた。
 まだ、雨は降り続いている。
 「美和ちゃん」