あの日以来雨は、休むことなく降り続け、
外を歩く人達の顔は、どこか憂鬱で足早に
目的地へ急いでるように見えた。
 私は、窓に目をやり隣のビルを、ボーッと
眺めていた。
 円形の近未来的なシルバーの建物は、どこ
か威圧的で・・・
 視線を変えて、空に目をやると、止めど無
く落ちてくる雨粒に、そっと溜息をひとつこぼ
した。
 今見つめたビルに、公平がいることが今だ
に信じられなかった。
 
 「相田くん、相田くん」
 突然佐野係長に呼ばれた。
 うわっ最悪・・・
 「何、ボーッとしているのかな?恋の悩み
?」
 「えっ?いいえ」
 「またまたーどうりで、この頃、きれいに
なったと思ったよ」