何が何だか、訳わからず。
 ただ、その場から立ち去りたくて、慌てて
公平達に別れを告げ、ビルの中に入ってい
った。
 そうさっき、私に声をかけてきた三島課長
こそが、私が今日遅刻しそうになった張本人
である。
 その笑顔を見たとたん、私の心臓が勝手
に、おかしくなりだした。
 昨日すでに、私の日常を変える事件が起
こっていた。
 三島課長は、私が入社して1年目の春、
転勤で福岡にやって来て、直属の上司にな
った。
 前の上司が、無愛想だっただけに、やさ
しくて、親しみやすくて、すごく頼りになる
人だった。
 時々打ち合わせを兼ねて、食事に誘われ
ることもあった。
 そんな時は、上司と部下というよりは、