遅かった。
 「キス?」
 公平が低い声で、聞き返してきた。
 私ってやっぱりばかだ。誘導尋問にのっち
ゃってる。
 沈黙が、流れたあと
 「美和は、そういう覚悟でホテルに行った
んだろ」
 もう、公平の顔見れなかった。
 元はといえば、公平と瞳のことがあったか
らでしょって福岡なら、絶対言えるのに。
 見知らぬ東京の空の下だと、なぜか、もう
言葉が続かなくって、叱られた子供のように
涙が、零れて止まらなかった。そもそも質問
にどう答えたらいいのよ。
 そういう気持ちはなかったなんて、しらじ
らしいし、だから、別れたいんだったら、こ
こに来なくてよかったんだってば・・・
 「美和は、どうしたいんだよ」
 公平の声のトーンが、すごくやさしく、変