んと接してくれたのよ。だけど、そのやさし
さが、辛くなって姿を消してしまったわ」
 瞳の視線が、向けられたのは空だった。
 ホテルの立派な正面のエントランスずらし
て、広がる空にぽつんと月が浮かんでいた。
 闇の中で、くっきり白く存在を主張してる
お月さま。
 「家庭問題とか、高校の時ごたごたしてて
公平が支えてくれなかったら、どうなってた
かわらなかったわ。公平も自分がいなかった
ら、私がダメになることわかってて側にいて
くれたのよ」
 初めて見る素の部分
 「強がっていたけど、実は弱かったんだ。
あの頃の私。だけど、公平を好きな気持ちは
誰にも負けなかった。だから、アメリカで、
強くなって、輝いて公平の心こっちに向けよ
うとしたけど、やっぱりだめだった」
 瞳が、ゆっくり私に視線を向けた。
 「ここは、私が泊まってるホテルよ。父が