「おまえっていつ傘使ってるの?」
 不思議そうに公平が言った。
 「たっ台風なみの時だけだよ」
 強引ないい訳。
 「相変わらずだよな。でも大丈夫じゃない
だろ」
 相変わらずって・・・幼馴染の因果か、私
の性格は、よくわかってるね。
 「じゃあ、これ使えよ。オレの会社すぐそ
こだから」
 公平が、自分の黒い傘を私に差し出した。
 「いっいいよ。私の会社も近いし」
 「ばか、使えよ。濡れるだろ」
 強引に公平が傘を渡した
 「いいったら。公平だって濡れるじゃない」
 強引に戻してしまった。
  こんな駅の人込みの中、傘の譲り合いな
んかしている私達に
 「前田くん、何してるの?」
 きれいな女性が、公平に話しかけてきた。
 「あっ森田、こいつが傘忘れたっていうか
ら」