姿を消したんだと思う」
 「どういうこと?」
 さっき掌に乗せた砂が、サラサラと零れて
いった。
 「公平は、今考えると、ずっと相田のこと
好きだったんじゃないかって思うんだ」
 町田くんの言葉に、波の音がだんだん遠く
なっていった。
 「昔っからあいつ、相田のこと、ほっとけ
ないでいたもんな。あんまり身近すぎて、本
当の気持ちわからなかったんじゃないかな?
それに加えて相田も先輩のことほめてたか
らあいつ相田は、先輩が好きなんだって勘
違いしてた」
 「あっ・・・私も素直じゃなかったから」
 町田くんは続けた
 「そんな時に、外見は、強がって生きてた
瞳の弱さを見て、ほっとけなくなった。瞳は
家庭環境に、恵まれてなかったからな。それ
をその時は、愛情だと勘違いしたんだと思う