なるのだろう?
 「美和!」
 波風の原因の公平が、追いかけてきた。
 少しほっとした。
 「おまえ、何か勘違いしてないか?」
 「何それ?」
 「おまえ怒ってるだろ?」
 「怒ってないよ」
 「なんだよ。それ。怒ってんじゃんか」
 「もう、私の後ろついて来ないでよ」
 「オレも帰ってんだから、同じ方向なんだ
よ」
 また、子供みたいなけんかをしながら、私
達は、地下鉄の階段まで、口もきかずに歩
いてきた。
 階段を一気に駆け降りたら、青に染りかけ
た、そっけない空が、隠れてく。
 「美和、森田とは、何もないから」
 妙に公平の声が、階段の中で響いた
 「昨日、森田1人に出来なかった。あいつ