公平が私の大学のこと知っていたから
だ。
 私達は、あの日高校2年の夏。人口が増
えたせいで、西と東に学校が別れてしまっ
てから、ずっと会っていなかった。
 あれから月日が流れた中で、公平も少しは
私のこと気にしてくれたのだろうか?
 こうしているとあの頃と同じで、そういえ
ば、公平のやさしさも変わっていなかった。
 さっきは、揉めたりしたけど、こんな満員
電車の中で、私に人が押し寄せてこないよう
に、ちゃんとかばってくれていた。
 電車は朝の慌しさの中で、静かに駅に到
着した。
 「私この駅だから」
 「オレもこの駅・・・」
 「えっそうなの」
 6月も半ばを過ぎようとしていた。
 4月からこっちにいて、同じ駅をお互い利
用してたのに、全く気づかなかった。