を下ろした。
 これまた微妙な位置で、ベンチの端と端に
座った2人の隙間に、風が吹いていった。
 「おまえの弁当、随分シンプルだな」
 公平が、私の方をチラっと覗いて言った。
 本当は、公平に渡すつもりだったから、わ
ざとよ。かわいくしたら照れるでしょ。なん
て心の中で、呟いてみる。
 だから、容器だってシンプルなやつ。
 「どうせかわいくないわよ。公平が食べて
るお弁当みたいに」
 また、嫌味いっちゃった・・・
 視線落とした先の、水溜りにゆっくり動く
雲が移った。
 学生の頃だって公平に対しては、意地張っ
たりして、かわいくなかったけど、それでも
昔の方が、もっと素直だった気がする。益々
かわいくない女になっていってる。
 昨日のこと頭に浮かんだ。
 「公平・・・」