う自分がいた。
 「ばっばか、この状態だから仕方ないだろ」
 公平も私から視線をそらしながら、答えた
 その短いやり取りの中に、不器用すぎるほ
どの、純粋な空気が流れた。
 昔のまんまだった。
 さっきより、微かに心臓の音が早くなって
いく。
 「みっ美和は、こっちで働いているの?」
 少し大人の男に成長した公平が、すぐ近く
で聞いてきた。
 「うん、公平は?」
 「オレは、今年の4月に福岡に転勤になっ
て戻ってきたんだ」
「4月・・・そうなんだ」
 知らなかった。2ケ月以上も前のことだ。
公平も、この電車に乗っていたなんて。
 そんな思いにふけっていると、あろうこと
か、電車が大きく揺れて、突然バランスを崩
した公平の右手が、私の胸を思いっきり触っ