放心状態のあたし
ふと我に返り急にまた恥ずかしくなる。


自然と背を向ける。


背中越しに
「優しくしてやれなくてごめんな」
バツが悪そうに謝る謙太さん。


「なんで謝るの?
こっちこそありがとうなのに」


「ありがとうとか言うな」


「ううん・・・何とも思ってないあたしの為に
無駄な気を使わせたし・・・
無駄なお金を使わせちゃったし・・・
でもいい思い出になったありがとう」


「アホ」


「もぉ~アホと言わないで」


「いいからこっち向けよ」


「だって恥ずかしいんだもん」


強制的に向きを変えられて
向き合う形に。


「トマトみたいに真っ赤っか」


「だから見ないでって・・・」


「大丈夫だった?」


「うん・・・あの・・・
でも一つだけお願いがあるの」


「聞けることと聞けないことがある」


「5分だけ抱きしめてて」


「え・・・」


「あ・・・3分
いや1分でもいいから」


「・・・・・」


返事がない・・・と言うことは迷惑ってことよね
何を彼女きどりしてんのか!って


「ごめん・・・やっぱいい
忘れて」


またあたしは背を向けた。


「おい!こっち向けや
だきしめてっていいながら
そっぽ向いてどうすんだよ」


くるっとまた向きを変えられ
向かい合った。